伝統板・第二
大祓(夏越祓(なごしのはらえ))② - 夕刻版
2019/06/28 (Fri) 21:59:15
明後日、6月30日は、水無月晦日祓(夏越祓)です。
この半年間のけがれを祓い、夏以降の疫病除けを祈願する行事。
《厄を祓って、幸を呼ぶ》
*メルマガ「大和し」(2019.6.27)より
前に出るためには、勢いが必要です。
思い切って力強く前に出ないことには、切り開くこともできません。
しかし、そのためには、心の状態を整理して、力を蓄えなければなりません。
養生も必要なことです。
心や気持ちが整理できていないと、ただむやみに動くだけです。
これでは初めに勢いがあっても長続きしません。
良運を引き寄せるためには、己を知り、今を冷静に判断できなければならないのです。
良運に巡り合うための「構え」を作らなければならないのです。
人生は人との出会いによって大きく転換します。
昇りも降りも、誰に出会い、誰と心を結び合うかで未来は決まってしまいます。
運には幸をもたらす幸運と、厄をもたらす悪運があります。
どちらも「運」と呼びますので、
引き寄せるということはこの二つを引き寄せることになります。
厄をもたらす悪運は、陰気なところに引き寄せられます。
暗い、弱気、迷い、恐れ、冷たい、不安、傲慢、ケチ(笑)
・・・などの要素が厄を呼びます。
逆に、明るい、強気、勇気、楽観、優しい、楽しみ、思いやり、度胸
・・・は幸をもたらします。
「勝ち神」とは、この幸を引き寄せる運のことです。
つまり、勝ち神を味方につければ、厄が祓われ、幸舞い込むのです。
さて、6月30日は「夏越しの大祓」で、
神社には大きな茅の輪がおかれ、その中をくぐる神事が行われます。
大祓いは一年に二回の晦日に行われます。
12月31日の年越しの祓いと6月30日の夏越しの祓いです。
平安時代から続くこの年中行事は、
半年間の罪穢れを祓うために宮中で行われたものです。
「水無月の夏越の祓えする人は 千歳の命延ぶというなり」
という和歌を口ずさみながら茅の輪をくぐると、厄が祓われます。
では、なぜ「茅(かや)」なのでしょうか。
これは牛頭天王の神話から来ています。
妻を娶るために身分を隠し旅をしていた旅人(牛頭天王)は
宿を求めて長者の家を訪ねました。
ところがこの金持ちの長者は、冷たくあしらい旅人を泊めることはしませんでした。
そこで、近くの貧しい家に向かいました。
その家主(蘇民将来)は、自分が貧しいにも関わらず、
快く優しく丁寧に扱い、泊めてくれました。
その後、自分の身分を明かした旅人は、
「茅の輪を作って蘇民将来の子孫門と書いたお札を張りなさい」と命じました。
以後、蘇民将来の家は繁栄しました。
その逆に長者はには恐ろしい厄が降りかかりました。
この話は、「祇園牛頭天王御縁起」という京都をはじめ各地に伝わる神話です。
京都の八坂神社や三重の津島神社などでは、
「蘇民将来の子孫」と書かれた護符が授与されています。
この護符を玄関に飾り、厄祓いをしているのです。
幸運を引き寄せるには、持っている穢れや厄を祓わなければ掴むことができません。
陰気な気持ちを持っていては、せっかくの幸も逃げていきます。
実は、生きているだけで穢れています。
特に商売をしていれば穢れます。
お金を儲けるということは穢れだからです。
また、食事も穢れます。
人間が生きていくためには他の命を頂かなくてはならないからです。
また、人にも迷惑をかけます。知らないうちに人を傷つけていることもあります。
人の世話にならなければ、この世で生きていくことはできません。
ですから、この半年の自分自身を見つめ、
そしてこの穢れの中で生きていることに感謝し、
そして、心の中の厄を祓うことで、新たな力が湧いてくるのです。
夏を越える力は「勢い」です。
厄を祓うということは、己自身に気づくことなのです。
長く続く伝統文化には、生きる知恵が詰め込んであるのです。
<参考Web:夏越の祓の神事「茅の輪くぐり」のルーツ
http://www.worldfolksong.com/calendar/japan/somin-shorai.html >
・・・
<参考Web>
(1)本流掲示板「【夏越祓】 (3083)」
→ http://bbs2.sekkaku.net/bbs/?id=sengen&mode=res&log=606
(2)光明掲示板・第一「夏越の大祓い (9549)」
→ http://bbs5.sekkaku.net/bbs/?id=koumyou&mode=res&log=1812
(3)谷口雅春先生をお慕いする掲示板 其の弐
「禊祓祝詞講義」 『大祓祝詞の私解』
→ http://bbs5.sekkaku.net/bbs/?id=yuyu6&mode=res&log=48
(4)伝統板・第二「夏越祓」
→ http://dentou.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=6525486
(5)伝統板・第二「大祓(夏越祓(なごしのはらえ))」
→ http://dentou.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=7588918
<感謝合掌 令和元年6月28日 頓首再拝>
茅の輪くぐり - 伝統
2019/06/29 (Sat) 22:06:49
茅の輪くぐりのくぐり方は、唱え詞を唱えながら、
8の字に3度くぐり抜けるのが一般的です。
もっとも基本的だと思われる茅の輪くぐりのくぐり方は、以下のようになります。
1周目:正面でお辞儀、左足で茅の輪をまたぎ、左回りで正面に戻る
2周目:正面でお辞儀、右足で茅の輪をまたぎ、右回りで正面に戻る
3周目:正面でお辞儀、左足で茅の輪をまたぎ、左回りで正面に戻る
正面でお辞儀、左足で茅の輪をまたぎ、参拝へ
( 茅の輪はこうしてくぐります<箱根神社HPより>
→ http://hakonejinja.or.jp/02-contents/02-main/09-gokitou/03-gokitou-contents/01-gokitou-main-contents/01tinowano-kugurikata.html )
「水無月の夏越の祓する人は、
千歳(ちとせ)の命延(の)ぶというなり」
(意味は、水無月(6月)の夏越の祓いを受ける人は、
延命効果があるといわれている)
「思ふこと みなつきねとて 麻の葉を
切りに切りても 祓ひつるかな」
(意味は、水無月(6月)の晦日(みそか)に私の悩みが皆無く
なってしまえと麻の葉を細かく切って御祓いをする)
「宮川の 清き流れに 禊せば
祈れることの 叶はぬはなし」
(意味は、御神域に流れる清い川で穢れを落とせば、
祈り願う心は天に通じるということである)
の和歌を口ずさみながら、茅の輪をくぐります。
(神社によっては、
唱える言葉・和歌が少し異なるところがあるようです)
・・・
《なぜ左右に回る?》
茅の輪くぐりでは、なぜ茅の輪を左右に八の字を描いてくぐるのか?
その理由・由来の一つとして、日本神話におけるイザナギとイザナミの
「国生み・神生み神話」が関連していると考えられる。
『古事記』によれば、伊邪那岐(イザナギ)・伊邪那美(イザナミ)の二柱の神は、
別天津神(ことあまつかみ)から天沼矛(あめのぬぼこ)を授かり、
淤能碁呂島(おのごろじま)を創りあげた。
イザナギとイザナミはその島に天降り、天の御柱と八尋殿を建てた。
イザナギは天の御柱を左回りに巡り、イザナミは右回りに巡り、
神生みへと神話は続いていく。
茅の輪くぐりの順番は、左回り、右回り、最後にもう一度左回りとなるが、
最初と最後がイザナギ側の左回りなのは、
男性のイザナギが主導で神生みを行ったことを表現しているのではないかと推測される。
(http://www.worldfolksong.com/calendar/japan/chinowa-kuguri.html より抜粋)
<感謝合掌 令和元年6月29日 頓首再拝>