伝統板・第二
『一日一語』(森 信三) - 夕刻版
2016/01/04 (Mon) 19:52:25
このスレッドでは、「国民の教育の父」と謳われた
「森 信三先生」の言葉を、その著「一日一語」から紹介してまいります。
森 信三先生 『一日一語』 1月の言葉(1日~5日)
【 1月1日 】
「人生二度なし」
これ人生における最大最深の真理なり。
・・・
【 1月2日 】
つねに腰骨をシャンと立てること━━
これ人間の根性の入る極秘伝なり。
・・・
【 1月3日 】
天下第一等の師につきてこそ
人間も真に生甲斐ありというべし。
・・・
【 1月4日 】
逆境は
神の恩寵的試練なり。
・・・
【 1月5日 】
絶対不可避なる事は即絶対必然にして
これ「天意」と心得べし。
<感謝合掌 平成28年1月4日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 1月の言葉(6日~10日) - 伝統
2016/01/06 (Wed) 20:06:18
【 1月6日 】
一日不読 一食不喰。
書物は人間の心の養分。
読書は一面からは心の奥の院であると共に、
また実践へのスタートラインでもある。
・・・
【 1月7日 】
求道とは、この二度とない人生を如何に生きるか──
という根本問題と取り組んで、
つねにその回答を希求する人生態度と言ってよい。
・・・
【 1月8日 】
これの世の 再び無しといふことを 命に透り 知る人すくな
これの世に 幽けきいのち 賜びたまひし 大きみいのちを つね仰ぐなり
・・・
【 1月9日 】
「天地終始なく人生生死あり」──
これは頼山陽の十三歳元旦の「立志の詩」の一句ですが、
これをいかに実感をもってわが身に刻み込むかが
我われの問題です。
・・・
【 1月10日 】
幸福とは求めるものではなくて、与えられるもの。
自己の為すべきことをした人に対し、
天からこの世において与えられるものである。
<感謝合掌 平成28年1月6日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 1月の言葉(11日~15日) - 伝統
2016/01/11 (Mon) 19:29:46
【 1月11日 】
1月11日
一切の悩みは比較より生じる。
人は比較を絶した世界へ躍入するとき、
始めて真に卓立し、
所謂「天上天下唯我独尊」の境に立つ。
・・・
【 1月12日 】
1月12日
悟ったと思う瞬間、即迷いに堕す。
自分はつねに迷い通しの身と知る時、
そのまま悟りに与かるなり
・・・
【 1月13日 】
1月13日
すべて手持ちのものを最善に生かすことが、
人間的叡智の出発といえる。
教育ももとより例外ではない。
・・・
【 1月14日 】
1月14日
「行って余力あらば以って文を学ぶ」(論語)
つまり学問が人生の第一義ではなくて、
生きることが第一義である。
・・・
【 1月15日 】
1月15日
人間は一生のうち、何処かで一度は徹底して
「名利の念」を断ち切る修行をさせられるが良い。
<感謝合掌 平成28年1月11日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 1月の言葉(16日~20日) - 伝統
2016/01/16 (Sat) 19:13:57
【 1月16日 】
1月16日
信とは、人生のいかなる逆境も、
わが為に神仏から与えられたものとして
回避しない生の根本態度をいうのである。
・・・
【 1月17日 】
1月17日
五分の時間を生かせぬ程度の人間に、
大したことは出来ぬと考えてよい。
・・・
【 1月18日 】
1月18日
やらぬ先から「○○をやる」という人間は、
多くはやり通せぬ人間と見てよい。
・・・
【 1月19日 】
1月19日
健康法の一つとして「無枕安眠法」──
夜寝るさいに枕をしないで寝ること。
これで一日の疲れは一晩で除れる。
・・・
【 1月20日 】
1月20日
ご飯が喉を通ってしまうまでお菜を口に入れない──
これ食事の心得の根本要諦である。
(──飯菜交互別食法──)
<感謝合掌 平成28年1月16日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 1月の言葉(21日~25日) - 伝統
2016/01/21 (Thu) 19:05:31
【 1月21日 】
1月21日
実行の伴わない限り、
いかなる名論卓説も画いた餅にひとしい。
・・・
【 1月22日 】
1月22日
「朝のアイサツは人より先に!!」──
これを一生つづけることは、人として最低の義務というべし。
・・・
【 1月23日 】
1月23日
金の苦労を知らない人は、
その人柄がいかに良くても、
どこか喰い足りぬところがある。
人の苦しみの察しがつかぬからである。
・・・
【 1月24日 】
1月24日
電話ほど恐ろしいものはない。
というのも聞こえるのはただ声だけで、
先方の表情や顔つきは一切分からぬからである。
・・・
【 1月25日 】
1月25日
いかなる人に対しても、少なくとも一点は、
自分の及びがたき長所を見いだすべし。
<感謝合掌 平成28年1月21日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 1月の言葉(26日~31日) - 伝統
2016/01/26 (Tue) 20:47:12
【 1月26日 】
1月26日
上役の苦心が分かりかけたら、
たとえ年は若くても、
他日いっかどの人間となると見てよい。
・・・
【 1月27日 】
1月27日
ハガキの活用度いかんによって、
その人の生活の充実さ加減が測定できるといえよう。
・・・
【 1月28日 】
1月28日
「一日は一生の縮図なり」──
かく悟って粛然たる念いのするとき、
初めて人生の真実の一端に触れむ。
・・・
【 1月29日 】
1月29日
一つの学校の教育程度を一ばん手取り早く、かつ端的に知るには、
子供たちのクツ箱の前に立って見るがよい。(家庭もとより同様)
・・・
【 1月30日 】
1月30日
相手の心に受け容れ態度が出来ていないのにお説教するのは、
伏さったコップにビールをつぐようなもの──
入らぬばかりか、かえってあたりが汚れる。
・・・
【 1月31日 】
1月31日
しつけの三大原則
(1)朝のあいさつをする子に──。
それには先ず親の方からさそい水を出す。
(2)「ハイ」とはっきり返事のできる子に──。
それには母親が主人に呼ばれたら必ず「ハイ」と返事をすること。
(3)席を立ったら必ずイスを入れ、ハキモノを脱いだら必ずそろえる子に──。
<感謝合掌 平成28年1月26日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 2月の言葉(1日~5日) - 伝統
2016/02/01 (Mon) 20:46:05
【 2月1日 】
「人生二度なし」──この根本認識に徹するところ、
そこにはじめて叡智は脚下の現実を照らしそめると云ってよい。
・・・
【 2月2日 】
世の中はすべて「受持ち」なりと知るべし。
「受持ち」とは「分」の言いにして、
これ悟りの一内容というて可ならむ。
・・・
【 2月3日 】
畏友と呼びうる友をもつことは、
人生の至楽の一つといってよい。
・・・
【 2月4日 】
生身の師をもつことが、
求道の真の出発点。
・・・
【 2月5日 】
苦しみや悲しみの多い人が、
自分は神に愛されていると分かった時、
すでに本格的に人生の軌道に乗ったものといってよい。
<感謝合掌 平成28年2月1日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 2月の言葉(6日~10日) - 伝統
2016/02/06 (Sat) 19:02:26
【 2月6日 】
自分に対して、心から理解しわかってくれる人が数人あれば、
一応この世の至楽というに値しよう。
・・・
【 2月7日 】
金の苦労によって
人間は鍛えられる。
・・・
【 2月8日 】
人間は腰骨を立てることによって
自己分裂を防ぎうる。
・・・
【 2月9日 】
悟りとは、
他を羨まぬ心的境涯ともいえよう。
・・・
【 2月10日 】
名・利というものは如何に虚しいものか。
しかも人間はこの肉の体の存するかぎり、
その完全な根切りは不可避といってよい。
<感謝合掌 平成28年2月6日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 2月の言葉(11日~15日) - 伝統
2016/02/11 (Thu) 20:07:12
【 2月11日 】
今日は建国記念日。
これについては反対の説もある様であるが、
米国などのように、歴史の浅い国では実証的な建国資料もあるが、
我が国のように長い歴史をもつ国ではそれは不可能である。
そこでは立場は二つ。
科学的に正確な資料がないから放って置くか、それとも、
民族の伝承に従って慶祝するかという二種の立場がありうるが、
私は後者の立場に賛したい。
・・・
【 2月12日 】
物事は一おう80点級の出来映えでよいから、
絶対に期限に遅れないこと。
これ世に処する一大要訣と知るべし。
・・・
【 2月13日 】
「家計簿」をつけるということは、
妻たり主婦たるものの第一の絶対的義務。
・・・
【 2月14日 】
一切の人間関係のうち夫婦ほど、
たがいに我慢の必要な間柄はないと云ってよい。
・・・
【 2月15日 】
信とは、いかに苦しい境遇でも、
これで己の業が果たせるゆえんだと、
甘受できる心的態度をいう。
<感謝合掌 平成28年2月11日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 2月の言葉(16日~20日) - 伝統
2016/02/16 (Tue) 18:39:41
【 2月16日 】
観念だけでは、心と躰の真の統一は不可能である。
されば、身・心の真の統一は、
肉体の座を持つことによって初めて可能である。
・・・
【 2月17日 】
ペスタロッチー (スイスの教育実践家)
人類の 夕暮れ歎く 一人の 隠者のこころ 誰か知りけむ
八十路過ぎて 帰り来たりし ノイホーフの 土は寒けく 明け暮れにけむ
・・・
【 2月18日 】
人間として最も意義ふかい生活は、
各自がそれぞれ分に応じて報恩と奉仕の生活に入ることによって開かれる。
・・・
【 2月19日 】
手紙の返事はその場で片づけるのが賢明。
丁寧に──と考えて遅れるより、むしろ拙速を可とせむ。
・・・
【 2月20日 】
偉れた先賢に学ぶということは、
結局それらの人々の精神を、
たとえ極微の一端なりともわが身を体して、日々の実践に生かすことです。
<感謝合掌 平成28年2月16日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 2月の言葉(21日~25日) - 伝統
2016/02/21 (Sun) 18:57:39
【 2月21日 】
師の偉さが分かり出すのは
(一)距離的に隔絶していて、年に一回くらいしか逢えない場合
(二)さらにはその生身を相見るに由なくなった場合とであろう。
・・・
【 2月22日 】
一人の卓れた思想家を真に読みぬく事によって、
一箇の見識は出来るものなり。
同時に真にその人を選ばば、
事すでに半ば成りしというも可ならむ。
・・・
【 2月23日 】
人間は一生のうち逢うべき人には必ず逢える。
しかも一瞬早すぎず、
一瞬遅すぎない時に──。
・・・
【 2月24日 】
縁は求めざるには生ぜず。
うちに求める心なくんば、
たとえその人の面前にありとも、
ついに縁を生ずるに到らずと知るべし。
・・・
【 2月25日 】
書物に書かれた真理を平面的とすれば、
「師」を通して学びえた真理は立体的である。
<感謝合掌 平成28年2月21日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 2月の言葉(26日~29日) - 伝統
2016/02/26 (Fri) 18:10:10
【 2月26日 】
満身総身に、
縦横無尽に受けた人生の切り創を通してつかまれた真理でなければ、
真の力とはなり難い。
・・・
【 2月27日 】
私は卅五歳前後のころに心の一大転換──回心──が起き、
それ以後私は石が好きになって、石だけが唯一の趣味でした。
ところが、それが卅年も続いたころ突然石ブームが生じて、
石にも値段がつき、その上に切ったり磨いたりし出したので、
それをしおにピタリと止めました。
・・・
【 2月28日 】
小夜更けて しづかにおもふ わが命 全けくしありて ここに生くるを
零下廿度の 空き屋に寝ねて 凍餓死を しづかに待ちし かの日をおもふ
・・・
【 2月29日 】
春近き 六甲山の山肌や 厳しきが中に 和みそめつも
山頂に ありし斑雪もいつしかに 見えずなりつも 春近づけば
・・・
【 腰骨を立て直そう 】
*「一日一語」森信三・著(P37)より
しっかりとした人間になる手はじめは、
まず二六時中腰骨をシャンと立てることです。
それには
(1)まず、お尻をウンとうしろに引き、
(2)つぎには腰骨の中心を、ウンと前へ突き出すのです。
(3)最後に下腹に力を入れ持続すること ――
そうすると、肩の気張りがとれ、全身の力が臍下丹田に収まって、
上体がごく楽になり、ドッシリと落ちついた人間になれます。
このような姿勢を、1日中つづけることによって、
われわれ人間には、注意の《集中力》と《持続力》が身につき、
その上さらに《判断力》も明瞭になるのです。
否、そればかりか、一だんと《行動的》実践的な人間になれます。
<参考Web:登龍舘(幼児教育について)
→ http://www.toryukan.co.jp/education/manner.html >
<感謝合掌 平成28年2月26日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 3月の言葉(1日~5日) - 伝統
2016/03/01 (Tue) 19:13:27
3月 はじめの言葉
燐火のように
リンリンと
燃えていなければならない
鈴虫のように
リンリンと
訴えていなければならない
禅僧のように
リンリンと
鍛えていなければならない
梅花のように
リンリンと
冴えていなければならない
真民
【 3月1日 】
教育とは人生の生き方のタネ蒔きをすることなり。
・・・
【 3月2日 】
教育とは流水に文字を書くような果てない業である。
だがそれを巌壁に刻むような真剣さで取り組まねばならぬ。
・・・
【 3月3日 】
どうしたら子供たちを、真に忍耐づよい子にすることが出来るか。
第一は人生に対して「立志」──のタネマキがなされねばならぬ。
それには、親なり教師たるものが、まず自己の「心願」を立て、日々を真剣に生きぬくこと。
第二は、子供らを、ある程度肉体的苦痛に堪えさすこと。
以上の二つは、深い現実的真理であるが、
もし第二の肉体的基盤を欠けば、第一もまた観念的理解の域を脱し得ないであろう。
・・・
【 3月4日 】
真の教育は、何よりも先ず教師自身が、
自らの「心願」を立てることから始まる。
・・・
【 3月5日 】
眼に見える物さえ正せない程度で、
刻々に転変して止まぬ人間の心の洞察など、
出来ようはずがない。
<感謝合掌 平成28年3月1日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 3月の言葉(6日~10日) - 伝統
2016/03/06 (Sun) 18:33:24
【 3月6日 】
教師自身が四六時中腰骨を立てつらぬくこと──
そしてこれが人間的主体の確立上、
最有効かつ最的確な方途だとの確信に到達し、
その上でそのタネ蒔きを子どもらに対しても始めること。
ここに人間教育の最大の眼目ありと知るべし。
・・・
【 3月7日 】
学校の再建はまず紙屑を拾うことから──。
次にはクツ箱のクツのかかとが揃うように。
真の教育は、こうした眼前の瑳事からスタートすることを知らねば、
一校主宰者たるの資格なし。
・・・
【 3月8日 】
同志三名を作らずしてその学校を去る資格なし。
・・・
【 3月9日 】
いかにしてテレビに打ち克つ子どもにするか──
教師たるものはこの一点に、
道徳教育のすべてをかけねばなるまい。
・・・
【 3月10日 】
二十五才の誕生日までは煙草は吸わぬ。
ただし翌日からは絶対自由──
せめてこの一事なりとも叩きこめる教師であってほしい。
<感謝合掌 平成28年3月6日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 3月の言葉(11日~15日) - 伝統
2016/03/11 (Fri) 19:42:45
【 3月11日 】
(一)週に一度の「学級だより」を
(二)月に一度、卒業生への「ハガキ通信」を。
以上の二つが実行できたら、
二本の軌道に乗った新幹線のように、
もうそれだけで、教育者としての本格的な軌道に乗ったものといえよう。
・・・
【 3月12日 】
ハガキを最上の武器として活用しうる人間に──
かくしてハガキ活用の達人たるべし。
・・・
【 3月13日 】
縁なき人の書物を数十ページ読むのが大事か、
それとも手紙の返事を書くほうが大事か──
このいずれをとるかによって、人間が分かれるともいえよう。
・・・
【 3月14日 】
自分を育てるものは 結局自分以外にはない。
これ恵雨芦田恵之助先生の至言。
・・・
【 3月15日 】
すべての最低絶対基本線の確保が大事であって、
何か一つ、これだけはどうしても守りぬき、やりぬく──
という心がけが肝要。
<感謝合掌 平成28年3月11日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 3月の言葉(16日~20日) - 伝統
2016/03/16 (Wed) 18:17:30
【 3月16日 】
「宿題のすまぬうちはテレビを見ない」という子どもに──。
この一事だけでも守れたら、
その子は一おう安心ができるといってよかろう。
・・・
【 3月17日 】
人間も、金についての親の苦労が分かりかけて、初めて稚気を脱する。
随ってそれまでは結局、幼稚園の延長に過ぎぬともいえる。
・・・
【 3月18日 】
物にもたれる人間は、
やがて人にもたれる人間になる。
そして人にもたれる人間は、
結局世の中を甘く見る人間になる。
・・・
【 3月19日 】
節約は物を大切にするという以上に、
わが心を引き締めるために有力だと分って人間もはじめてホンモノとなる。
・・・
【 3月20日 】
性欲の萎えた人間に偉大な仕事はできない。
──それと共に、みだりに性欲を漏らす者にも大きな仕事はできぬ。
<感謝合掌 平成28年3月16日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 3月の言葉(21日~25日) - 伝統
2016/03/21 (Mon) 18:22:58
【 3月21日 】
すべて人間には、天から授けられた受もち(分)がある。
随ってもしこの一事に徹したら、
人間には本来優劣の言えないことが分かる。
・・・
【 3月22日 】
読書は実践への最深の原動力
・・・
【 3月23日 】
本は読むだけずつ買い、買うだけずつ読む──
というのが、理想であり望ましい。
・・・
【 3月24日 】
人に長たる者は 孤独寂寥に耐えねばならぬ。
・・・
【 3月25日 】
部下の進化を真に見抜ける人物は極めて少ない。
部下のうちに、
自分より素質的に卓れた人間のいることを知っている校長は絶無というに近い。
<感謝合掌 平成28年3月21日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 3月の言葉(26日~31日) - 伝統
2016/03/26 (Sat) 18:28:53
【 3月26日 】
いざという時 肚のない人間は、人の長たる器とはいえぬ。
・・・
【 3月27日 】
お酒は利き酒の飲み方にかぎる。
同時にそこには、すべて物事の味を噛みしめる秘訣がこもる。
・・・
【 3月28日 】
人は退職後の生き方こそ、その人の真価だといってよい。
退職後は、在職中の三倍ないし五倍の緊張をもって、
晩年の人生と取り組まねばならぬ。
・・・
【 3月29日 】
筆はちびる直前が一番使い良く、肉は腐る寸前が一番うまい。
同様に今後恵まれるわずかな残生を、
衷心より懼れ慎んで、「天命」に随順して生きたいと思う。
・・・
【 3月30日 】
古来女をつくる事は易いが、手を切ることがむつかしいといわれる。
同様に仕事を始めるとはやさしいが、シメくくりをつけることは難しい。
いわんや人生のしめくくりにおいておやである。
知らず、何を以てこの世の〆めくくりと考えるべきか。
・・・
【 3月31日 】
白雲の 出雲の国の山深く 逢ひにし子らを 忘れかねつも
いつの日か 復た相逢はん 期なけむ いのち幽けく 寂しむものあり
<感謝合掌 平成28年3月26日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 4月の言葉(1日~10日) - 伝統
2016/04/02 (Sat) 17:37:41
【 4月1日 】
人はすべからく、終生の師をもつべし。
真に卓越せる師をもつ人は、終生道を求めて歩きつづける。
その状あたかも、北斗星を望んで航行する船の如し。
・・・
【 4月2日 】
心願をもって貫かねば、いかに才能ありとも
その人の「一生」は真の結晶には到らぬ。
・・・
【 4月3日 】
人間は、進歩か退歩の何れかであって、その中間はない。
現状維持と思うのは、実は退歩している証拠である。
・・・
【 4月4日 】
休息は睡眠以外不要──という人間に成ること。
すべてはそこから始まるのです。
・・・
【 4月5日 】
人間は自己に与えられた条件をギリギリまで生かすという事が、
人生の生き方の最大最深の秘訣。
・・・
【 4月6日 】
物事はすべておっくうがってはいかぬ。
その為には、先ず体を動かすことを俊敏に──。
・・・
【 4月7日 】
実践の中心は責任感である。
男らしさとは、つよい責任感をもつことである。
・・・
【 4月8日 】
釈尊の説かれた「無常」の真理とは、
「この世ではいつ何が起こるか分からぬ」──ということです。
それ故われわれは、常にこの「無常」の大法を心して、
いつ何が起ころうと驚かぬように心しなければならぬ。
・・・
【 4月9日 】
人間のシマリは、まず食欲の慎しみから──。
次には無駄づかいをしない事。そして最後が異性への慎しみ。
・・・
【 4月10日 】
古来傑出せる人ほど、コトバの慎しみは特に重視せしものなり。
良寛には「戒語」が四通りもあり、
その内最大なるものは、八十箇条にものぼれど、
そのすべてが言葉に関する戒めなり。
また葛城の慈雲尊者は、「十善法語」の十戒中、
言葉の戒めが、四箇条を占める。
以って古人の言葉に対する慎しみのいかに深きかを知るに足らん。
道元も曰く「愛語よく回天の力あるを知るべきなり」と。
(注※四箇条とは(一)不妄語 (二)不綺語 (三)不悪口 (四)不両舌)
<感謝合掌 平成28年4月2日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 4月の言葉(11日~20日) - 伝統
2016/04/11 (Mon) 17:48:09
【 4月11日 】
上位者にタテつくことを以って 快とする程度の人間は、
とうてい「大器」には成れない。
・・・
【 4月12日 】
同僚より五分前に出勤する心がまえ──
それが十年も積み重ねられたとき、いつしか大きなひらきとなる。
・・・
【 4月13日 】
暗室に入ったように、周囲の様子が見え出すまでは、じっとして動かない。──
これが新たな環境に移った場合のわたくしの流儀です。
・・・
【 4月14日 】
すべての物事の長短を冷厳に見て、しかも固定化せぬこと。
しかも流動のままとらえつつ、流されないように──。
・・・
【 4月15日 】
日常の雑事雑用を、いかに巧みに、要領よくさばいてゆくか──
そうした処にも、人間の生き方のかくれた呼吸があるといえよう。
・・・
【 4月16日 】
ものごとの処理は、まず手順を間違えぬことから──
しかしそれには、あらかじめ、準備しておく必要がある。
・・・
【 4月17日 】
人間というものは、自分が他人様のお世話になっている間はそれに気づかぬが、
やがて多少とも他人様のお世話をさせてもらう様になって、
初めてそれが如何に大へんな事かということが分かるものです
・・・
【 4月18日 】
人間は何物かにたよったり、結構づくめな生活に慣れると──
要するに飼いならされると、いつしか自己防衛本能が鈍る。
・・・
【 4月19日 】
人間下坐の経験のない者は、
まだ試験済みの人間とは言えない。
・・・
【 4月20日 】
キレイごとの好きな人は、とかく実践力に欠けやすい。
けだし実践とはキレイごとだけではすまず、
どこか野暮ったく、泥くさい処を免れぬものだからです。
<感謝合掌 平成28年4月11日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 4月の言葉(21日~30日) - 伝統
2016/04/21 (Thu) 19:27:28
【 4月21日 】
人間が謙虚になるための、手近な、そして着実な道は、
まず紙屑をひろうことからでしょう。
・・・
【 4月22日 】
野の一輪の草をコップにさして、
そこに幽かな美の感じられないような人は、
真に心の通う人とはいえないですね。
・・・
【 4月23日 】
金原省吾氏
限りなき 哀しびふかく湛へつつ 常のごとくも 在りておはさむ
人気なき夜半に目覚めて をりをりは 声し忍ばす時もありなむ
・・・
【 4月24日 】
友情とは、年齢がほぼ等しい人間関係において、
たがいに相手に対して、親愛の情を抱くことであるが、
友情ほどこの世の人間関係の内で、味わい深いものはない。
そして友情において大事なことは、常に相手に対して、
「その信頼をうら切らない」という一事に尽きる。
・・・
【 4月25日 】
すべて宙ぶらりではダメです。
多くの人が宙ぶらりんだからフラつくのです。
ストーンと底に落ちて、はじめて大地に立つことができて、
安泰この上なしです。
・・・
【 4月26日 】
「極陰は陽に転じる」──これ易の真理にして、宇宙の「大法」である。
けだしこの大宇宙は、つねに動的バランスを保ちながら、
無窮に進展しているが故である。
・・・
【 4月27日 】
石はどういうのが良いかというと
一、第一は座りの良いこと──
尤もブームになってからは下を切ったり磨いたりし出したが、
これらは何れも邪道。
二、形の佳いこと──
形は大たい山の格好をしているのが良く、
動物などに似ているのは下品とされている。
三、石質の堅緻なこと──これは大事な条件の一つ。
四、色は普通は黯みがかったのを佳しとするが、
時には佐渡の赤石のような例外もある。
五、以上のうち二、三、四はいずれも良いが、
唯座りだけが問題だという場合には、台をつくって鑑賞する場合もある。
・・・
【 4月28日 】
最深の愛情とは、ある意味では人生の無常を知らせることかも知れません。
そしてそれには、教える者自身が、
日々無常に徹して生きていなければ出来ることではないでしょう。
・・・
【 4月29日 】
この地上には、真に絶対なものは一つもない。
在るのはみな相対有限なもののみ。
だが、如上の実相を照破する寂光のみは絶対的といえよう。
それ故この地上では、絶対の光は常に否定を通してのみ閃めくといえる。
・・・
【 4月30日 】
極陰は陽に転ずることわりを ただにし思へば心動ぜず
大いなる光照れれば国民の いのちや竟に 改まるべき
<感謝合掌 平成28年4月21日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 5月の言葉(1日~10日) - 伝統
2016/05/01 (Sun) 19:26:22
【 5月1日 】
われわれ人間は「生」をこの世にうけた以上、
それぞれ分に応じて、一つの「心願」を抱き、
最後のひと呼吸までそれを貫きたいものです。
・・・
【 5月2日 】
多少能力は劣っていても、
真剣な人間の方が最後の勝利者となるようです。
・・・
【 5月3日 】
毀誉ほうへんを越えなければ、
一すじの道は貫けない。
・・・
【 5月4日 】
《三つのことば》
「人を先にして己を後にせよ」
「敵に勝たんと欲するものはまず己に克て」
「義務を先にして娯楽を後にせよ」
・・・
【 5月5日 】
(1)一度思い立ったら石にしがみついてもやりとげよう
(2)ホンのわずかな事でもよいから、他人のためにつくす人間になろう。
・・・
【 5月6日 】
高すぎない目標をきめて必ず実行する。
ここに「必ず」とは、唯の一度も例外を作らぬ──
という心構えをいうのである。
・・・
【 5月7日 】
百円の切符が九十八円で買えないことは、
五円で買えないのと同じである。
もの事は最後の数パーセントで勝敗が決する。
・・・
【 5月8日 】
「義務を先にして、娯楽を後にする」──
たったこの一事だけでも真に守り通せたら、
一かどの人間になれよう。
・・・
【 5月9日 】
睡眠は必要に応じて伸縮自在たるべし。
「何時間寝なければならぬ」というような固定観念をすて、
必要に応じては五時間・三時間はもとより、
時には徹夜も辞せぬというほどの覚悟が必要。
・・・
【 5月10日 】
目覚むれば 力身内に 湧きいづる この不思議さよ 何といふべき
せめてわが 命果てなむ 際だにも これの不思議を 畏みてあらな
<感謝合掌 平成28年5月1日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 5月の言葉(11日~20日) - 伝統
2016/05/12 (Thu) 18:17:07
【 5月11日 】
食事をするごとに心中ふかく謝念を抱くは、
真人の一特徴というべし。
それだけに、かかる人は意外に少ないようである。
・・・
【 5月12日 】
朝起きてから夜寝るまで、
自分の仕事と人々への奉仕が無上のたのしみで、
それ以外別に娯楽の必要を感じない──というのが、
われわれ日本人のまともな庶民の生き方ではあるまいか。
・・・
【 5月13日 】
「下学して上達す」──
下学とは日常の雑事を尽すの意。
それゆえ日常の雑事雑用を軽んじては、
真の哲学や宗教の世界には入りえないというほどの意味。
・・・
【 5月14日 】
「五十にして天命を知る」──というが、
知という限り、まだ観念的なものが残っている。
それ故「六十にして耳順う」の境に到ってはじめて
真理の肉体化がはじまるともいえよう。
・・・
【 5月15日 】
真人と真人とが結ばれねばならぬ。
現在わたくしが最も努力しているのは、
縁のある真人同士を結ぶことです。
・・・
【 5月16日 】
世間的に広くは知られていないけれど、
卓れた人の書をひろく世に拡める──
世にこれにまさる貢献なけむ。
・・・
【 5月17日 】
心はみえないから、
まず見える躰の方から押さえてかからねばならぬ。
それ故心を正そうとしたら、
先づ躰を正し物を整えることから始めねばならぬ。
クツをそろえること一つが、
いかに重大な意味をもつか分からぬような人間は、論ずるに足りない。
・・・
【 5月18日 】
挙手は、行動的な「しつけ」の第一であって、
断乎たる決意の表明ともなる。
挙手についてはまず
(1)五本の指をそろえ、
(2)ついで垂直に上げること
(3)そして最後に俊敏に!!──という三つが大事。
・・・
【 5月19日 】
「腰骨を立てる」ことは、
エネルギーの不尽の源泉を貯えることである。
この一事をわが子にしつけ得たら、
親としてわが子への最大の贈り物といってよい。
・・・
【 5月20日 】
息子を一生に三度叱るか、
それとも一生に一度も叱らぬか、
父親にはこのような深い心の構えがなくてはなるまい。
<感謝合掌 平成28年5月12日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 5月の言葉(21日~30日) - 伝統
2016/05/21 (Sat) 19:51:55
【 5月21日 】
山深く 来しとあらねど この寺に 山鴬の声 聞きにけり
はつはつに 楓の若葉 萌え出でて これのみ寺の 明るかりけり
・・・
【 5月22日 】
現世的に恵まれると、
美も宗教もわからぬ人間となる。
何となれば、共に世の薄倖な人びとに与えたまう
天の恩恵だからである。
・・・
【 5月23日 】
真の鑑識眼は、最初のうちは、
最上のもの一つに徹することによって得られる。
いたずらに比較考量している限り、
ついに物事の真に徹するの期なけむ。
・・・
【 5月24日 】
美的な創造感覚と、
蓄財利殖の能力とは両極的なものです。
天二物を与えず──ですネ。
・・・
【 5月25日 】
美術品の場合、倦きがこないということが良否の基準となる。
つまり倦きがこないとは、
作品に人為の計らいがないせいで、
それだけ天に通じる趣きがあるといえよう。
同時にこれは、ひとり芸術品だけでなく、
人間一般にも通じることでしょう。
・・・
【 5月26日 】
感覚を新鮮にするには、
つねに異質的なものを媒介として自己を磨く必要がある。
でないと感覚はいつしか鈍磨して、
マンネリ化する傾向がある。
・・・
【 5月27日 】
石が分かるということは、
物がわかり出した一徴標といってもよい。
というのは、
相対界を離れた証拠ともいえるからである。
・・・
【 5月28日 】
わたくしには何も出来ませんが、
ただ人さまの偉さと及び難さを感じる点では、
あえて人後におちないつもりです。
・・・
【 5月29日 】
すべて物事は、
その事の真髄への認識と洞察が根本で、
真に認識に徹したら、動き出さずにはいられぬはず。
ところで認識への手引きは
ヤハリ生きた書物でしょうね。
・・・
【 5月30日 】
一、腰骨を立て
二、アゴを引き
三、つねに下腹の力を抜かぬこと
同時にこの第三が守れたら、
ある意味では達人の境といえよう。
・・・
【 5月31日 】
真理の 化身とや いはめ幻の 時に顕(た)ちきて われを導く
一人の 隠者の心 幽けくも 追ひ求めてぞ ひと世過ぎしか
<感謝合掌 平成28年5月21日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 6月の言葉(1日~10日) - 伝統
2016/06/02 (Thu) 18:31:54
【 6月1日 】
世の中の事はすべてが一長一短で、両方良いことはない。
哲学の最終的帰結も、
宇宙間の万物は、すべて絶大なる動的平衡(調和)によって保たれている──
という一事だといってよい。
・・・
【 6月2日 】
真理は現実の只中にあって書物の中にはない。
書物は真理への索引(インデックス)にないしはしおりに過ぎない。
・・・
【 6月3日 】
「世の中は正直」とは、
神は至公至平──というに近い。
・・・
【 6月4日 】
わが身にふりかかる事はすべてこれ「天意」──
そしてその天意が何であるかは、
すぐには分からぬにしても、
噛しめていれば次第に分かってくるものです。
・・・
【 6月5日 】
この世における辛酸不如意・苦労等を、
すべて前世における負い目の返済だと思えたら、
やがては消えてゆく。
だが、これがむつかしい。
・・・
【 6月6日 】
すべての悩みからの脱却には行動が必要。
「南無阿弥陀仏」という念仏称名もそのひとつ。
手紙を書くのも掃除をするのも、
はたまた写経をするのも──
それぞれに良かろう。
・・・
【 6月7日 】
わが身に降りかかった悲痛事に対して、
その何ゆえか(WHY)を問わない。
それよりも如何に(HOW)対処すべきかが大切。
・・・
【 6月8日 】
哲人といえども迷う時はあろう。
だが迷う時間が短かろう。
悟った人でも迷うことはある。
しかし迷う時間が短い。
・・・
【 6月9日 】
玄米食は、我われ日本人の「食」の原点である。
それ故玄米食を始めると、
かえって味覚が鋭敏になる。
・・・
【 6月10日 】
豆腐の味は「日本の味」である。
それ故豆腐の味が分りかけたということは、
その人が真に日本人らしくなりかけた一徴表とも言えようか。
<感謝合掌 平成28年6月2日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 6月の言葉(11日~20日) - 伝統
2016/06/11 (Sat) 19:17:05
【 6月11日 】
《お金に困らぬ人間になる工夫》
一、大きなお金をくずすのは、一日でも先きにのばすこと。
二、お札を逆さに入れたり、ハチあわせにしたりせぬこと。
三、財布を幾つか持っていて、それぞれの用途や向きに応じて別にしておくこと。
・・・
【 6月12日 】
金銭は自分の欲望のためには、
出来るだけ使わぬように──。
そしてたとえわずかでもよいから、
人のために捧げること。
そこにこの世の真の浄福境が開けてくる。
・・・
【 6月13日 】
人間もつねに腰骨を立てていると、
自分の能力の限界がわかるようになる。
随って無理な計画はしなくなる。
私が今日まで大たい計画の果遂できたのも、
その根本はこの点にある。
・・・
【 6月14日 】
仕事は一気呵成にやりぬくに限る。
もし一度には仕上がらず、
どうしても一度中断せねばならぬ場合には、
半ばを超えて六割辺までこぎつけておくこと──
これ仕事をやりぬく秘訣である。
・・・
【 6月15日 】
わたくしには、なん度聞いても飽きぬ話が三つある。
一つは(地蜂の)蜂の子とりの話。
次はやまめ(ヒラメ)釣りの話。
そして最後は富山の薬屋の新規開拓の苦心談。
・・・
【 6月16日 】
暁の 床に目覚めて うつつなき 心に響き かじかは啼くも
ほのぼのと 外の面はややに白みたれ 河鹿は鳴くも 小暗き室に
・・・
【 6月17日 】
如何にささやかな事でもよい。
とにかく人間は他人のために尽くすことによって、
はじめて自他共に幸せとなる。
これだけは確かです。
・・・
【 6月18日 】
天性資質にめぐまれた者は、
二割五分前後を割いて他に奉仕すべし。
これは本来東洋の伝統思想たる「恩」の思想に基づくものであるが、
それをマルクスの搾取観を媒介として、
現代的に甦らせた真理ともいえよう。
・・・
【 6月19日 】
たった一枚のハガキで、
しかもたった一言のコトバで、
人を慰めたり励ましたり出来るとしたら、
世にこれほど意義あることは少ないであろう。
・・・
【 6月20日 】
疲れると眠りますが、横になると躰がなまるので、
机にもたれて眠ることにしています。
先ず光線をさえぎる為に黒い絹布を頭にかぶり、
格好は猫を手本にしてなるべく球形に近づくと、
大てい五分くらいで眠りに入り、十五分前後で覚めて心気一新です。
<感謝合掌 平成28年6月11日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 6月の言葉(21日~30日) - 伝統
2016/06/21 (Tue) 17:37:28
【 6月21日 】
人は真に孤独に徹することによって、
初めて心眼がひらけてくる。
けだしそれによって相対観を脱するからである。
・・・
【 6月22日 】
論語の「朋あり遠方より来る。亦楽しからずや」とは、
現在では用のないのに同志のハガキが届くことではあるまいか。
つまり、今日では、友の代りにハガキの来る場合の方が遥に多いわけです。
・・・
【 6月23日 】
幸福とは、
縁ある人々との人間関係を噛みしめて、
それを深く味わうところに生ずる感謝の念に他なるまい。
・・・
【 6月24日 】
人間は何人も自伝を書くべきである。
それは二度とないこの世の「生」を恵まれた以上、
自分が生涯たどった歩みのあらましを、
血を伝えた子孫に書きのこす義務があるからである。
・・・
【 6月25日 】
人間の生き方には何処かすさまじい趣がなくてはならぬ。
一点に凝集して、まるで目つぶしでも喰らわすような趣がなくてはならぬ。
人を教育するよりも、まず自分自身が、
この二度とない人生を如何に生きるかが先決問題で、
教育というのは、いわばそのおこぼれに過ぎない。
・・・
【 6月26日 】
人間はおっくがる心を刻々に切り捨てねばならぬ。
そして歳をとるほどそれが凄まじくならねばなるまい。
・・・
【 6月27日 】
「随所作主」とは、人はどんな境遇の中にあっても、
リンリンとして生きてゆける人間になることでしょう。
・・・
【 6月28日 】
「一剣を侍して起つ」という境涯に到って人は初めて真に卓立して、
絶対の主体が立つ。
甘え心やもたれ心のある限り、
とうていそこには到り得ない。
・・・
【 6月29日 】
往相はやがて還相に転ぜねばならぬ。
そして還相の極は施であり奉仕である。
・・・
【 6月30日 】
小川村を訪ふ
老藤の 垂りにたりたる 下をゆく いささ流れも 清らかにして
苔むせる 御墓の前に彳みて 碑の古文字を 見つつをろがむ
(江州小川村は中江藤樹先生の生誕の地)
<感謝合掌 平成28年6月21日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 7月の言葉(1日~10日) - 伝統
2016/07/01 (Fri) 19:46:03
【 7月1日 】
世界史は表から見れば「神曲」の展開──
そして之を裏がえせば、
人類の「業」の無限流転といえよう。
されば之に対して何人が、
絶対的正邪善悪をいう資格があろう。
・・・
【 7月2日 】
この地上には、一さい偶然というべきものはない。
外側からみれば偶然と見えるものも、
ひと度その内面にたち入って見れば、
ことごとく絶対必然だということが分る。
・・・
【 7月3日 】
いかに苦痛な人生であろうとも、
「生」を与えられたということほど
大なる恩恵はこの地上にはない。
そしてこの点をハッキリと知らすのが、
真の宗教というものであろう。
・・・
【 7月4日 】
人はその一心だに決定すれば、
如何なる環境に置かれようとも、
何時かは必ず、道が開けてくるものである。
・・・
【 7月5日 】
弱さと悪と愚かさとは、互いに関連している。
けだし弱さとは一種の悪であって、
弱き善人では駄目である。
また智慧の透徹していない人間は結局は弱い。
・・・
【 7月6日 】
人間の偉さは才能の多少よりも、
己に授かった天分を、
生涯かけて出し尽くすか否かにあるといってよい。
・・・
【 7月7日 】
自己の力を過信するものは、
自らの力の限界を知らぬ。
そして力の限界が見えないとは、
端的には、自己の死後が見えぬということでもあろう。
・・・
【 7月8日 】
かにかくに ひと世つらぬき 生きて来し
そのいや果てぞ いのち賭なむ
・・・
【 7月9日 】
道元の高さにも到り得ず、
親鸞の深さにも到り得ぬ身には、
道元のように「仏になれ」とも言わず、
また親鸞のように「地獄一定の身」ともいわず、
たゞ「人間に生まれた以上は人らしき人になれよ」と教えられた葛城の慈雲尊者の、
まどかなる大慈悲心の前に、心から頭が下がるのです。
・・・
【 7月10日 】
足もとの紙クズ一つ拾えぬ程度の人間に何が出来よう。
<感謝合掌 平成28年7月1日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 7月の言葉(11日~20日) - 伝統
2016/07/11 (Mon) 19:34:48
【 7月11日 】
畏友というものは、
その人の生き方が真剣であれば必ず与えられるものである。
もし見つからぬとしたら、それはその人の人生の生き方が、
まだ生温くて傲慢な証拠という他あるまい。
・・・
【 7月12日 】
肉体的な距離が近か過ぎると、
真の偉大さは分かりにくい。
それ故その人の真の偉さがわかるには、
ある程度の距離と期間を置いて接するがよい。
・・・
【 7月13日 】
なぜ私が石が好きかというと
一、第一には何時までたっても倦きがこない。
二、また石は、盆栽や小鳥などのように一切世話や手入れの必要がない。
三、その上、ブームになるまでは、石には金銭的な値段がつかなかったので、
私のような横着者には最上の趣味でした。
・・・
【 7月14日 】
自分の最も尊敬している偉人の伝記は、
精しく調べていて、
自在に実例が出るようでなければ真の力とはなりにくい。
・・・
【 7月15日 】
肉体的や精神的苦痛は、なるべく人に洩らさぬこと──。
人に病苦や不幸を漏らして慰めてもらおうという根性は、
甘くて女々しいことを知らねばならぬ。
・・・
【 7月16日 】
手に入れし 鴨川石を 厳しけき 時世なれども わが愛でてをり
遠山を とほく眺むる 姿なす これの石かや 愛でて飽かぬかも
・・・
【 7月17日 】
「流水不争先」──
現世的な栄進の道を、アクセク生きてきた人が、
あげくの果てに開眼させられた一境地といってよかろう。
・・・
【 7月18日 】
公生涯にあっては、出所・進退の時機を誤らぬことが何よりも肝要。
だが相当な人でも、とかく誤りがちである。
これ人間は自分の顔が見えぬように、
自分のことは分からぬからである。
・・・
【 7月19日 】
人間は退職して初めて肩書の有難さがわかる。
だが、この点を率直に言う人はほとんどいない。
それというのも、それが言えるということは、
すでに肩書を越えた世界に生きていなければ出来ぬことだからである。
・・・
【 7月20日 】
言葉の響きは偉大である。
一語一音の差に天地を分かつほどの相違がある。
それゆえ真に言葉の味わいに徹するのは、
そのままいのちに徹するの言いといってよい。
<感謝合掌 平成28年7月11日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 7月の言葉(21日~31日) - 伝統
2016/07/22 (Fri) 19:22:06
【 7月21日 】
すべての物事は、リズムを感得することが大切である。
リズムは、根本的には宇宙生命に根ざすものゆえ、
リズムが分かりかけてはじめて物事の真相も解り出すわけである。
中んずく書物のリズムの如きは、著者の生命の最端的といってよい。
・・・
【 7月22日 】
批評眼は大いに持つべし。
されど批評的態度は厳に慎むべし。
・・・
【 7月23日 】
創作家が評論をするのは、チューブに穴をあけるようなもので、
それだけ創作への迫力が減殺される。
随って真の文豪は、評論は書かずに自己の作品で示している。
・・・
【 7月24日 】
わたくしは文章による論争というもはしたことがない。
それというのも、論争は第三者には面白くても、
当事者双方は、それによってお互いに傷つけ合うだけだからである。
・・・
【 7月25日 】
善悪・優劣・美醜などは、すべて相対的で、
何ら絶対的なものではない。
何となれば、いずれも「比較」によって生まれるのであり、
随って尺度のいかんによっては、逆にもなりかねないからである。
・・・
【 7月26日 】
心の通う人とのいのちの呼応こそ、
この世における真の浄福であり、
人間にとって真の生甲斐といってよかろう。
・・・
【 7月27日 】
精薄児や身障児をもつ親は、悲観の極、必ず一度は
この子と共に身を滅ぼしたいとの念いに駆られるらしいが、
しかもその果てには必ず、この子のお陰で
人間としての眼を開かせてもらえたという自覚に到るようである。
・・・
【 7月28日 】
ある時
悲しみの 極みというも なほ足りぬ いのちの果てに みほとけに逢ふ
・・・
【 7月29日 】
「救い」とは「自分のような者でも、尚ここにこの世の生が許されている」──
という謝念でもあろうか。
そしてその見捨てない最後の絶対無限な力に対して、
人びとはこれを神と呼び仏と名づける。
・・・
【 7月30日 】
人はこの世の虚しさに目覚めなければならぬが、
しかしそれだけではまだ足りない。
人生の虚しさを踏まえながら、
各自応分の「奉仕」に生きてこそ人生の真の味わいは分かり初める。
・・・
【 7月31日 】
たそがれて 人影もなき 池の辺に 野茨の花 咲き盛りをり
白じらと夕べ仄かに 池の辺に 咲く野茨を 愛しみて見つ
<感謝合掌 平成28年7月22日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 8月の言葉(1日~10日) - 伝統
2016/08/02 (Tue) 18:48:17
【 8月1日 】
一、礼を正し
二、場を浄め
三、時を守る
これ現実界における再建の三大原理にして、
いかなる時・処にも当てはまるべし。
・・・
【 8月2日 】
われわれ、人間はそれぞれ自分の宗教的人生観──
真の人間観──をもつべきである。
そしてそれは極微的には、それぞれその趣を異にし、
最終的には、一人一宗ともいえよう。
・・・
【 8月3日 】
人間の智慧とは、
(一)先の見通しがどれほど利くか
(二)又どれほど他人の気持ちの察しがつくか
(三)その上何事についても、どれほどバランスを心得ているか
ということでしょう。
・・・
【 8月4日 】
英知とは、
その人の全知識、全体験が発火して、
一瞬ひらめく不可視の閃光といってよい。
・・・
【 8月5日 】
一眼はつねに、個としての自己の将来の展望を怠らぬと同時に、
他の一眼は、刻々に変化してゆく世界史の動向を見失わぬことです。
こうした異質的両極を、つねにわが身上に切り結ばせつつ、
日々を生きぬくことが大切でしょう。
・・・
【 8月6日 】
形ある石ひとつひとつ分からぬような人間に、
どうして色も形もなく、
そのうえ転変常なき人心の察しなど出来るはずがない。
いわんや子らの心を育てみちびく教育の如きにおいておや。
・・・
【 8月7日 】
秋になって実のなるような果樹で
春、美しい花の咲く樹はない。
・・・
【 8月8日 】
すべて物事には基礎蓄積が大切である。
そしてそれは、ひとり金銭上の事柄のみでなく、
信用に関しても同じことが言えます。
否、この方がはるかに重大です。
・・・
【 8月9日 】
才無きを憂えず
才の恐ろしさを知れ。
・・・
【 8月10日 】
「すべて最上なるものは、
一歩を誤ると中間には留まり得ないで最下に転落する──」
とは、げに至深の真理というべし。
<感謝合掌 平成28年8月2日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 8月の言葉(11日~20日) - 伝統
2016/08/11 (Thu) 18:00:53
【 8月11日 】
夫婦の仲というものは、
良きにつけ悪しきにつけ、
お互いに「業」を果たすために結ばれたといえよう。
そして、この点に心の腰がすわるまでは、
夫婦間の動揺は止まぬと見てよい。
・・・
【 8月12日 】
女が身につけるべき四つの大事なこと
(一)子供のしつけ。
(二)家計のしまり。
(三)料理。そして
(四)最後が清掃と整頓
・・・
【 8月13日 】
性に関しては、
たとえ人から尋ねられても答える義務はない。
何となれば、聞く方が非礼であるのみならず、
「性」に対する冒涜だからである。
・・・
【 8月14日 】
男の子は素質的には母親似が多く、娘は父親似が多い。
そして後天的には、息子は父親に、そして娘は母親に学ぶ。
ここに生命における「性」の相互交錯と相互滲透、
ならびに先天と後天の絶妙なる天理が伺える。
・・・
【 8月15日 】
一粒の けし粒だにも こもらへる 命貴と 思ふこのごろ
・・・
【 8月16日 】
人間の生命が、たがいに相呼応し共感し得るということは、
何たる至幸というべきであろうか。
世にこれに勝るいかなる物があるであろうか。
・・・
【 8月17日 】
人間はいくつになっても、名と利の誘惑が恐ろしい。
有名になったり、お金が出来ると、
よほどの人でも、ともすれば心にゆるみが生じる。
・・・
【 8月18日 】
その人が何を言っているかより、
何を為ているかが問題。
そして両者の差がヒドければヒドイほど、
その人は問題の人といってよかろう。
もしその上に有名だったら、
一種の悪党性がつけ加わるとさえ言えよう。
・・・
【 8月19日 】
人間は才知が進むほど、
善・悪両面への可能性が多くなる。
故に才あるものは才を殺して、
徳に転ずる努力が大切である。
・・・
【 8月20日 】
水鳥の 朽木に浮かぶ 真白さを 清しとぞ見つ 朝の汀に
天地の 明けゆく光 ほのぼのと 朝の河面に わが見つるかも
<感謝合掌 平成28年8月11日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 8月の言葉(21日~30日) - 伝統
2016/08/21 (Sun) 18:31:46
【 8月21日 】
他人の学説の模写的紹介をしたり、あるいは部分的批評をする事をもって、
哲学であるかに考えている人が少なくないが、
真の哲学とは、
この現実の天地人生をつらぬく不可視の理法を徹見して、
それを一つの体系として表現する努力といってよい。
・・・
【 8月22日 】
世の中には、
いかに多くのすぐれた人がいることか──それが分かりかけて、
その人の学問もようやく現実に根ざし初めたと云えよう。
・・・
【 8月23日 】
われわれ人間は、ただ一人の例外もなく、
すべて自分の意志ないし力によって、
この地上に生まれてきたのではない。
そしてこの点に対する意識こそ、
おそらくは最高最深の叡知といってよい。
されば我われ人間は、
それぞれ自分がこの世に派遣せられた使命を突き止めねばなるまい。
・・・
【 8月24日 】
一切万有は神の大愛の顕現であり、
その無量種の段階における発現というべきである。
・・・
【 8月25日 】
真実というものは、
一点に焦点をしぼってピッチを上げなければ、
発火しにくいものである。
・・・
【 8月26日 】
人間関係──与えられた人と人との縁──をよく噛みしめたら、
必ずやそこには謝念がわいてくる。
これこの世を幸せに生きる最大の秘訣といってよい。
・・・
【 8月27日 】
宗教は人間が立派に生きるためのもの。
随って人間は神には仕えるべきであるが、
宗教に仕えるべきではあるまい。
ひとつの宗教にゴリゴリになるより、
人間としてまっとうに生きる事の方が、
はるかに貴いことを知らねばなるまい。
・・・
【 8月28日 】
真の宗教が教団の中に無いのは、
真の哲学が大学に無いのと同様である。
これ人間は組織化せられて集団になると、
それを維持せんがために、
真の精神は遠のくが故である。
・・・
【 8月29日 】
親鸞は「歎異抄」の冒頭において、
「弥陀の誓願不思議に助けられまゐらせて」という。
その不思議さを、親鸞と共に驚きうる人が、
今日果して如何ほどあるといえるであろうか。
・・・
【 8月30日 】
人間はこの肉体をもっている限り、
煩悩の徹底的な根切りは不可能である。
そしてこの一事が身根に徹して分かることこそ、
真の救いといってよかろう。
・・・
【 8月31日 】
看護しつつ 独り坐すれば 人間の ひと世の運命 しじに思ほゆ
<感謝合掌 平成28年8月21日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 9月の言葉(1日~10日) - 伝統
2016/09/01 (Thu) 18:54:05
【 9月1日 】
「円心あって円周なし」──
そしてみな自主独立にして出入自在。
今後は無数のコンミューンが生まれねばならぬが、
この様な円の中心者たちが、お互いに手を取り合う
「開かれたコンミューン」でなければなるまい。
・・・
【 9月2日 】
「一人雑誌」の意義
(一)各自の主体性の擁立に資するところ大。
(二)さらに同志相互間の生命の呼応、展開に資する光がために──。
・・・
【 9月3日 】
自己の縁なき著名人の書を読むより、
縁ある同志の手刷りのプリントを読む方が、
どれほど生きた勉強になるか分からぬ。
これ前者は円周上の無数の一点に過ぎないが、
後者は直接わが円心に近い人々だからである。
・・・
【 9月4日 】
今日は義人田中正造翁が、同志庭田清四郎の家で最後の呼吸を引き取った日。
枕頭に残された遺品としては、頭陀袋一つ。
中にあったのは聖書と日記帳、及びチリ紙と小石数個のみだったと。
戦前正造に関しては五巻の「義人全集」があるのみだったので、
翁の遺弟の黒沢酉蔵氏や雨宮義人氏と語らい「全集」刊行の議を起こして発足したが、
途中岩波書店に引継がれ、(その間多少遺憾な経緯はあったが)
今や完璧な「全集」の刊行されつゝあることは、事に関わった私にとっては望外な欣びです。
・・・
【 9月5日 】
人間は心身相即的存在ゆえ、
性根を確かなものにしようと思えば、
まず躰から押さえてかからねばならぬ。
それゆえ二六時中、「腰骨を立てる」以外に、
真に主体的な人間になるキメ手はない。
・・・
【 9月6日 】
九十九人が、川の向う岸で騒いでいようとも、
自分一人はスタスタとわが志したこちら側の川岸を、
わき眼もふらず川上に向かって歩き通す底の覚悟がなくてはなるまい。
・・・
【 9月7日 】
一、「開かれたコンミューン」づくりと
二、玄米自然食の実行
これ今日激動する時代に対処する、二つの自己防衛策といってよかろう。
・・・
【 9月8日 】
自己の道は自己にとっては唯一にして絶対必至の一道なれど、
他から見ればワン・オブ・ゼムたるに過ぎない──
との自覚こそ大事なれ。
そしてこの理を知ることを真の「自覚」とはいうなり。
・・・
【 9月9日 】
人間何事もまず十年の辛抱が肝要。
そしてその間抜くべからず、奪うべからざるは基礎工事なり。
されば黙々十年の努力によりて、
一おう事は成るというべし。
・・・
【 9月10日 】
相手と場所の如何に拘わらず、
言うべからざることは絶対に口外せぬ。
この一事だけでも、真に守り得れば、
まずは一かどの人間というを得む。
<感謝合掌 平成28年9月1日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 9月の言葉(11日~20日) - 伝統
2016/09/12 (Mon) 18:31:48
【 9月11日 】
蔭でライバルの悪口をいうことが、
如何に自己を傷つけるはしたない所業がということの分からぬ程度の人間に、
大した事など出来ようはずがない。
・・・
【 9月12日 】
自分より遥かに下位の者にも、
敬意を失わざるにいたって、
初めて人間も一人前となる。
・・・
【 9月13日 】
尊敬する人が無くなった時、
その人の進歩は止まる。
尊敬する対象が、年と共にはっきりして来るようであれば、
真の大成は期し難い。
・・・
【 9月14日 】
人は自己に与えらた境遇の唯中に、
つねに一小宇宙を拓かねばならぬ。
されば夜店の片隅にいる一老爺でも、
その心がけ次第では、
一小天地の中に生きているといえよう。
・・・
【 9月15日 】
人間の真価と現世的果報とは、
短い眼で見れば合致せずとも見ゆるべし。
されど、時を長くして見れば、
福徳一致は古今の鉄則なり。
・・・
【 9月16日 】
石川理紀之助翁
雑草の 生ひ茂りたる ひとところ 碑前に額ずき しましありけり
草木谷よ つね思ひつゝも つひに来し 涙流れて せむ術もなき
・・・
*参考Web:老農 石川理紀之助
→ http://www.pref.akita.jp/fpd/meigi/meigi-02.htm >
・・・
【 9月17日 】
仕事への熱心さ × 心のキレイさ = 人間の価値
隠岐の学聖永海佐一郎博士が「人間の真のネウチ」として立てられた公式です。
この明確な表現には心から敬意と讃歎を禁じえません。
唯われわれ凡人としては、「心のキレイさ」には到り得なくても、
せめて「心の暖かさ」が望ましいと思いますね。
・・・
【 9月18日 】
正直という徳は、
われわれ人間が、世の中で生きていく上では、一ばん大切な徳目です。
それ故「正直の徳」を身につけるためには、
ひじょうな勇気がいるわけですが、
同時に他の一面からは、相手の気持ちを察して、
それを傷つけないような深い心づかいがいるわけです。
・・・
【 9月19日 】
(一)われわれのこの人生は、二度と繰り返し得ないものだということ。
(二)われわれは、いつ何時死なねばならぬかもしれぬということ──
この二重の真理が切り結ぶことによって、
はじめて多少は根性の入った人間になれるといってよかろう。
・・・
【 9月20日 】
人間の書く物の中で、
読まれることの一番確かなものは「手紙」である。
それ故できたら複写紙で控えをとっておくことは、
書物を書くのと比べて幾層倍も大事なことといえよう。
<感謝合掌 平成28年9月12日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 9月の言葉(21日~30日) - 伝統
2016/09/21 (Wed) 17:57:20
【 9月21日 】
宮沢賢治
明治以後 われらが民族に 斯くばかり 清しき生命 かつて生れしや
これの世に いのち短かく 生れ出でて 永久の光となりし君はも
・・・
【 9月22日 】
真に個性的な人の根底は「誠実」である。
それというのも、
一切の野心、さらには「我見」を焼き尽くさねば、
真に個性的な人間にはなれないからである。
・・・
【 9月23日 】
徳化とは理屈によって化するにあらず。
心の表現としてのリズムによって化するものなり。
かくしてリズムの味は言葉には言い難けれど、
予想以上に深く人心を化するものなり。
・・・
【 9月24日 】
徳川時代の偉人に学ぶということは、
「現在もしそれらの人々が、この激流のような時代に生きていたとしたら、
いかに行動するであろうか」と考え、
「今日自分として如何に生きることが、
それら超凡の偉人の心懐に一脈通うであろうか」
との志念やむなきものがなくてはならぬでしょう。
・・・
【 9月25日 】
今日は藤樹先生のご命日です。
処が私にとって最深の痛恨事は先生のお墓と並べて、
故橋田邦彦氏の慰留碑と称するものの建っていることで、
けだしこれほど大なる冒涜はないからです。
これは戦後一、二、の人間が政治的に策謀して、
中央から知事を通して天降り的に押しつけて来たものです。
そこで私は「聖域」を旧に復するために、
数年前藤樹学者の木村光徳、林秀一の二氏と語らい、
これを地続きの玉林寺の境内に移すよう先方に申し入れたのですが、
未だにそのままです。
思うにそれらの人々には、それが却って橋田氏を傷つける所業だと
いうことが分からぬらしいのです。
・・・
【 9月26日 】
道の継承には、少なくとも三代の努力を要せむ。
従って継承者は師におとらぬだけの気魄と精進を要せむ。
・・・
【 9月27日 】
われわれ有限者にとっては、
絶対者は幻を通してしか接しられない。
それはちょうど、晴れた日の太陽は直視できないように、
雲間を透してのみ、その姿を垣間見ることが出来るようなものです。
・・・
【 9月28日 】
私の学問は「哲学」とか「心実学」というより
「全一学」と呼ぶのが応わしいようです。
また私が尊敬している方も、西洋ではプロチノスとスピノザ、
また我国では藤樹、梅岩、梅園、慈雲及び尊徳というような人々で、
いずれも「全一学」に生きた人々です。
・・・
【 9月29日 】
死の覚悟とは──
いつ「死」に見舞われても、「マア仕方ない」と諦めのつくように、
死に到るまでの一日一日を、
自分としてできるだけ充実した「生」を生きる他あるまい。
・・・
【 9月30日 】
みすずかる 信濃の宿の ひと室に 遺書をかくがに 書かき暮す
肉むらの 朽ちはてむとき 自が書の 命かそけく 呼吸づくらむか
<感謝合掌 平成28年9月21日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 10月の言葉(1日~10日) - 伝統
2016/10/02 (Sun) 19:01:05
【 10月1日 】
因果というものは厳然たる真理です。
それゆえ如何にしてかかる因果の繋縛を超えるか。
結局はその理を体認透察することであるが、
現実には後手に廻らぬこと。
つまり常に先手、先手と打ってゆくことである。
・・・
【 10月2日 】
一体どうしたら思索と行動のバランスがとれるか。
第一に、物事をするのをおっくうがらぬこと。
第二に、つねに物事の全体を見渡す智慧を──
第三に物事の本質的順序を誤らぬこと。
そしてこれらの凡てを総括して行動的叡智という。
・・・
【 10月3日 】
この世の事はすべて借金の返済であって、つまる処天のバランスです。
すべてが「宇宙の大法」の現れだということが解ったら、
一切の悩みは消えるはずです。
・・・
【 10月4日 】
真の形而上学は、
古来孤独寂寥に生きた魂の自証の表現以外の何ものでもない。
── 一例 スピノザ
・・・
【 10月5日 】
天下同悲の人の心をおもう。
石 不 言
花 不 語。
・・・
【 10月6日 】
卓れたる 才もたせける この友の 盲ひし運命 何とかもいはむ
庭樹々に 来啼く 小鳥のもろ声を しづかにし聴く 友の姿や
・・・
【 10月7日 】
読者は単に知的な楽しみだけであってはならぬ。
直接間接に、わが生き方のプラスになるものを選びたい。
それには単に才能だけで生きた人より、
自殺寸前という様なギリギリの逆境を突破して、
見事に生き抜いた人のものの方が、
はるかに深く心を打つ。
・・・
【 10月8日 】
「笑顔は天の花」
笑顔によって、相手の心の扉が開けたら──。
・・・
【 10月9日 】
母親は単に家族の一員でなくて、
まさに家庭の太陽である。
・・・
【 10月10日 】
親として大事なこと二つ
(一)親自身、自分の為すべき勤めと真剣に取り組むこと。
(二)つねにわが子の気持ちの察しのつく親になること。
勿論後者のほうが何層倍とむつかしい。
<感謝合掌 平成28年10月2日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 10月の言葉(11日~20日) - 伝統
2016/10/12 (Wed) 18:43:43
森 信三先生 『一日一語』 10月の言葉(11日~20日)
【 10月11日 】
これだけの俸給を得るために、
主人がどれほど下げたくない頭を下げ、
言いたくないお世辞を言っているか──ということの分る奥さんにして、
初めて真に聡明な母親となるわけです。
・・・
【 10月12日 】
夫婦のうち人間としてエライほうが、
相手をコトバによって直そうとしないで、
相手の不完全さをそのまま黙って背負ってゆく。
夫婦関係というものは、結局どちらかが、
こうした心の態度を確立する外ないようですね。
・・・
【 10月13日 】
裏切られた恨みは、これを他人に語るな。
その悔しさを噛みしめてゆく処から、
はじめて人生の智慧は生まれる。
・・・
【 10月14日 】
男として大事なことは、見通しがよく利いて、
しかも肚がすわっているということ──
この両者はもちろん関連は深いが、
しかし常に一致するとは限らない。
・・・
【 10月15日 】
地上における人間の生活は、
時あっては血飛沫を浴びつつ前進しなければならぬ場合もある。
随って砂塵や烈風を恐れるものには、
真の前進はあり得ない。
・・・
【 10月16日 】
善人意識にせよ、潔白さ意識にもせよ、
もしそれを気取ったとしたら、
ただにイヤ味という程度を越えて
必ずや深刻な報復を免れぬであろう。
・・・
【 10月17日 】
仏・魔の間、
真にこれ紙一重のみ。
・・・
【 10月18日 】
人間のシマリは、「性」に対するシマリをもって最深とする。
しかも異性に対する用心は、何といっても接近しないことである。
如何なる人でも近づけば過ちなきを保し難いのが、
「性」というものの深さであり、その恐ろしさである。
・・・
【 10月19日 】
私はおコワならおコワ一式、ソーメンならソーメン一式で、
ソーメンを頂いてからご飯も頂くということはしません。
・・・
【 10月20日 】
この地上では、何らかの意味で、犠牲を払わねば、
真に価値あるものは得られぬとは、永遠の真理である。
だからもしこの世において犠牲の必要なしという人があったとしたら、
それは浅薄な考えという他ない。
だが犠牲は他に強要すべきものでは断じてない。
かくして犠牲において、大事な点は、自ら犠牲の重荷を負う
本人自身には何ら犠牲の意識がないどころか、
そこには深い喜びと感謝の念の伴うのが常である。
<感謝合掌 平成28年10月12日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 10月の言葉(21日~30日) - 伝統
2016/10/23 (Sun) 18:17:02
【 10月21日 】
人間晩年になっても仕事が与えられるということは、
真に辱ない極みと思わねばならぬ。
待遇の多少などもちろん問題とすべきではない。
・・・
【 10月22日 】
「世の中はなるようにしかならぬ、だが必ず何とかはなる──」
もしこの「何とか」というコトバの中に、
「死」というコトバも入れるとしたら、
これほど確かな真理はないであろう。
・・・
【 10月23日 】
もし私があの世へ、唯一冊の本を持って行くとしたら、
恐らくは「契縁録」を選ぶでしょう。
何となれば、それは二度とないこの世において、
私という一個の魂が、縁あって巡り合い知り合った人々の
自伝の最小のミニ版だからです。
・・・
【 10月24日 】
中にゐて 中と思はぬ 霞かな 娑婆即寂光浄土。
・・・
【 10月25日 】
愛する前に理解がなければならぬ。
同時に愛しなければ真の理解は得難い。
それ故かかる処にも、生きた真理は、
すべていのちの円環を描いていることが分明である。
・・・
【 10月26日 】
人間を知ることは現実を知ることのツボである。
わたくしが人間に対して限りなき関心をもつのは、
生きた人間こそ無量な「真理の束」だからである。
・・・
【 10月27日 】
「性」への深い洞察なくしては、学問もなければ思想もない。
いわんや聖人聖者においておやである。
何となれば、聖者聖人とは、
人間性の洞察の奥底に達した人生の大達人ともいうべき人々だからである。
・・・
【 10月28日 】
人間の 一世おもへば おのがじし 負ひ来し「業」を 果たさむとする
これの世に いのち生れにし 奇しさよ おのもおのもが 業果たしする
・・・
【 10月29日 】
祖先の「血」は即今この吾において生きつつある。──
この理が真に解った時、
人は初めて人生の意義もわかりかけ、
同時にその時天地の実相の一端にも触れむ。
・・・
【 10月30日 】
親への孝養とは、
単に自分を生んでくれた一人の親を大事にするだけでなく、
親への奉仕を通して、
実は宇宙の根本生命に帰一することに外ならない──。
これ藤樹先生のいわゆる「大孝」の説であり、
これを今日の言葉でいえば、まさに「孝の形而上学」というべきであろう。
・・・
【 10月31日 】
たらちねの 親のみいのち わが内に 息ますと思ふ 畏きろかも
<感謝合掌 平成28年10月23日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 11月の言葉(1日~10日) - 伝統
2016/11/01 (Tue) 18:11:00
【 11月1日 】
男は無限の前進に賭けるところがなければならぬ。
女は耐えに耐えつつ貫き通すことが大切。
・・・
【 11月2日 】
死の絶壁に向かってつよくボールを投げつけ、
そのはねかえる力を根源的なエネルギーとしながら、
日々を生きぬく人物の生きざまは、げにも凄まじい。
・・・
【 11月3日 】
日本史を通観する時、天皇は民族の虚中心といってよい。
だがそれは生身としてではなく位格としてである。
随ってそれが実中心となった時代は比較的短く、かつ実効を伴わなかった。
そしてそれが顕著に功績を挙げたのは、上古を除けば、
近世でほとんど明治期だけといってよい。
それは、明治期は我らの民族が封建体制を脱して、
近代国家として世界に門戸を開くという異常な時代だったが故であろう。
・・・
【 11月4日 】
肚をすえるという事は、
裏返えせばすべて神まかせという事でもある。
だが単に神まかせというだけでは、まだ観念的であって、
よほどそれに徹しないとフラつきやすい。
・・・
【 11月5日 】
宗教とは、ある面からは現実認識への徹到ともいえよう。
そしてその場合、現実の中心を為すのはもちろん人間である。
随って人は宗教によって真の人間認識に達しうるともいえよう。
・・・
【 11月6日 】
嫉妬は女にのみ特有のことではなく、
男女に共通する最深の罪といってよい。
そしてそれは結局、自己の存立がおびやかされる事への危惧感であって、
いかに卓れた人でも、事ひと度自己の専門に関する事柄ともなれば、
いかに隠そうとしても嫉妬心が兆す。
・・・
【 11月7日 】
真に心深き人とは、
自己に縁ある人の苦悩に対して深く共感し、
心の底に「大悲」の涙をたたえつつ、
人知れずそれを噛みしめ味わっている底の人であろう。
・・・
【 11月8日 】
津軽野を わが訪い来れば まづ仰ぐ 岩木霊山よ 常若にして
津軽野に 清しく立てる 岩木嶺よ 霊山といふも 宜にこそあれ
・・・
【 11月9日 】
どんな地位にある人でも、一旦盲目になったら、
その地位を失わざるをえない。
それ故一刻も早くそこまで身を落とさねばならぬ──
これが三十代半ばにおけるわたくしの自覚の一支柱でした。
・・・
【 11月10日 】
人間は真に覚悟を決めたら、
そこから新しい智慧が湧いて、
八方塞りと思ったところから一道の血路が開けてくるものです。
<感謝合掌 平成28年11月1日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 11月の言葉(11日~20日) - 伝統
2016/11/11 (Fri) 18:38:15
【 11月11日 】
知識の完全な模写物より、
自分の躰でつかんだ不完全知の方が、
現実界でははるかに有力である。
・・・
【 11月12日 】
この世では、総じてキレイごとで金をもうけることはむつかしい。
これ現実界における庶民的真理の一つといってよい。
・・・
【 11月13日 】
西 晋一郎 先生
現そ身の 人の形に生れまして もろもろ人に 道示させし
みいのちに 触りせざりせば おぞの身の いのち如何にか 生きむとやせし
・・・
【 11月14日 】
名利の念を捨てることは容易ではないが、それはとにかくとして、
少なくとも名利というものが
絶対的でない事を知らせて下すった方こそ、
真に「開眼」の師というべきであろう。
・・・
【 11月15日 】
師は居ながらにして与えられるものではない。
「求めよ、されば与へられん」というキリストの言葉は、
この場合最深の真理性をもつ。
・・・
【 11月16日 】
「智愚一如」の真理を身に体するのは、容易なことではないが、
一応分からせて頂いたのは、
河上肇博士の宗教の師で、
「無我愛」の行者の伊藤証信さんからでした。
・・・
【 11月17日 】
知っていて実行しないとしたら、
その知はいまだ「真知」でない ── との深省を要する。
無の哲学の第一歩は、実はこの一事から出発すべきであろうに ──。
・・・
【 11月18日 】
地上の現実界は多角的であり、かつ錯雑窮まりない。
随って何らかの仕方で常にシメククリをつけねば仕事は進まない。
そしてそれへの最初の端緒こそハキモノを揃えるしつけであって、
それはやがて又、経済のシマリにもつながる。
・・・
【 11月19日 】
分を知るとは自己の限界の自覚ともいえる。
随って人間も分を自覚してから以後の歩みこそほんものになる。
だが才能ある人ほど、その関心が多角的ゆえ、
「分」の自覚に入るのが困難であり、かつ遅れがちである。
・・・
【 11月20日 】
分を突きとめ 分をまもる。
<感謝合掌 平成28年11月11日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 11月の言葉(21日~30日) - 伝統
2016/11/21 (Mon) 18:15:01
【 11月21日 】
人間の真価を計る二つのめやす──。
一つは、その人の全智全能が、
一瞬に、かつ一点に、どれほどまで集中できるかということ。
もう一つは、睡眠を切りちぢめても精神力によって、
どこまでそれが乗り越えられるかということ。
・・・
【 11月22日 】
すべて一芸一能に身を入れるものは、
その道に浸りきらねばならぬ。
躰中の全細胞が、画なら画、短歌なら短歌にむかって、
同一方向に整列するほどでなければなるまい。
・・・
【 11月23日 】
声は腹より出すものなり。
座談に至るまで、その一語一語が腹より出づるに到れば、
これひとかどの人物というべし。
それには常に下腹の力の抜けぬ努力が肝要。
・・・
【 11月24日 】
我執とは、自己の心身の統一が得難く、その分裂乖離の結果、
心が欲望の対象に偏執する相といえる。
それゆえ、およそ「修業」の根本となるものは、
いずれも身・心の相即的統一を図る工夫を念とする。
・・・
【 11月25日 】
人は他を批判する前に、まず自分としての対策がなければならぬ。
しかも対策には何よりも着手点を明示するを要する。
この程度の心の用意なきものは、他を批判する資格なしというべし。
・・・
【 11月26日 】
今や東京は、その人口が世界最大のみならず、
政治・経済・文化等の一切を貪り集めている。
そのうえ、文化の伝達機関たる出版までも独占し、
ためにアメリカ風の浮薄な文化が、今や全国的にまんえんして、
ほとんどその極に達せんとしつつある。
これ私が「遷都論」を唱えざるを得ないゆえんである。
・・・
【 11月27日 】
学問や思想の世界においてさえ、
真に自分の眼で物を見、自己の頭でその真偽・優劣を判断せずに、
広義の世評を基準としてしか物の判断できない人が多いということは、
真に嘆かわしい極みである。
・・・
【 11月28日 】
交通機関の速さが、
今後人間関係をいよいよ複雑にし、かつ刹那的にするであろう。
ではそうした狂燥的な社会にいかに対処するかが問題だが、
これも根本的には各自が「腰骨を立てる」以外に途はあるまい。
というもの結局は、
自己の主体的統一を堅持する以外に途はないからである。
・・・
【 11月29日 】
人間は
(一)職業に対する報謝として、後進のために実践記録を残すこと。
(二)この世への報謝として「自伝」を書くこと。
随って自伝はその意味からは一種の「報恩録」ともいえよう。
(三)そして余生を奉仕に生きること
これ人間として最低の基本線であって、
お互いにこれだけはどうしてもやり抜かねばならぬ。
・・・
【 11月30日 】
冬に入る 日本海のすさまじさ 潮騒の音を 聞きにけるかも
陽の落ちて 暗くしなれる この岸に 打ちとよもせる 潮騒の音
(石見の海)
<感謝合掌 平成28年11月21日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 12月の言葉(1日~10日) - 伝統
2016/12/02 (Fri) 19:03:35
【 12月1日 】
日本民族の使命は将来の東西文化の融合に対して、
いわばその縮図的原型を提供する処にあるであろう。
・・・
【 12月2日 】
一眼は遠く歴史の彼方を、
そして一眼は脚下の実践へ。
・・・
【 12月3日 】
日本民族の世界観は、一口にいえば「神ながら」である。
神ながらとは、民族生命の原始無限流動の展開をいう。
そしてこれが、明治維新まで儒仏の文化を摂取し溶融したが、
ついで維新以後は、西欧文化の摂取を容易ならしめてきた根源力である。
・・・
【 12月4日 】
新しい愛国心の中心は、
まず日本民族に対する全的信頼を恢復することであろう。
・・・
【 12月5日 】
世界史は結局、巨大なる「平衡化」への展開という外なく、
わたくしの歴史観は「動的平衡論」の一語につきる。
すなわち「動的平衡論」とはこの宇宙間の万象は、
すべてこれ陰(マイナス)と陽(プラス)との
動的バランスによって成立しているということである。
・・・
【 12月6日 】
「物質的に繁栄すると、とかく人間の心はゆるむ。」
これまた「宇宙の大法」の一顕現であり実証である。
・・・
【 12月7日 】
根本的原罪は唯一つ、「我性」すなわち自己中心性である。
そして原罪の派生根は三つ。
(一)性欲
(二)嫉妬
(三)搾取。
・・・
【 12月8日 】
ひとたび「性」の問題となるや、
相当な人物でも過ちを犯しやすい。
古来「智者も学者も踏み迷う」とは、
よくも言えるもの哉。
・・・
【 12月9日 】
職業とは、人間各自がその「生」を支えると共に、
さらにこの地上に生を享けたことの意義を実現するために不可避の道である。
されば職業即天職観に、人々はもっと徹するべきであろう。
・・・
【 12月10日 】
人間は他との比較をやめて、
ひたすら自己の職務に専念すれば、
おのずからそこに一小天地が開けて来るものです。
<感謝合掌 平成28年12月2日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 12月の言葉(11日~20日) - 伝統
2016/12/11 (Sun) 17:58:32
【 12月11日 】
玄米とみそ汁を主とする生活の簡素化は、
今日のように時代にこそその意義は深い。
それは、資本主義機構に対する
自己防衛的意味をもつ一種の消極的抵抗だからである。
・・・
【 12月12日 】
人は内に凛乎たるものがあってこそ、
はじめてよく「清貧」を貫きうるのであって、
この認識こそが根本である。
・・・
【 12月13日 】
人間形成の三大要因
(一)遺伝的な先天的素質
(二)教師ないしは先達による啓発
(三)逆境による人間的試練
・・・
【 12月14日 】
これまで親の恩が分からなかったと解った時が、
真に解りはじめた時なり。
親恩に照らされて来たればこそ、
即今自己の存在はあるなり。
・・・
【 12月15日 】
人間は一人の卓越した人と取り組み、
その人を徹底的に食い抜けること──
これ自己確立への恐らくは最短の捷径ならむ。
・・・
【 12月16日 】
逆算的思考法とは、
人生の終末への見通しと、
それから逆算する考え方をいう。
だがこの思考法は、ひとり人生のみならず、
さらに各種の現実的諸問題への応用も可能である。
・・・
【 12月17日 】
人生を真剣に生きるためには、
できるだけ一生の見通しを立てることが大切です。
いっぱしの人間になろうとしたら、
少なくとも十年先の見通しはつけて生きるのでなければ、
結局は平々凡々に終わると見てよい。
・・・
【 12月18日 】
真に生き甲斐のある人生の生き方とは、
つねに自己に与えられているマイナス面を、
プラスに反転させて生きることである。
・・・
【 12月19日 】
人間の甘さとは、
自分を実際以上に買いかぶることであり、
さらには他人の真価も、
正当に評価できないということであろう。
・・・
【 12月20日 】
「誠実」とは、言うことと行うことの間にズレが」ないこと。
いわゆる「言行一致」であり、随って人が見ていようがいまいが
その人の行いに何らの変化もないことの「持続」をいう。
<感謝合掌 平成28年12月11日 頓首再拝>
森 信三先生 『一日一語』 12月の言葉(21日~31日) - 伝統
2016/12/21 (Wed) 17:49:36
【 12月21日 】
「心願」とは、人が内奥ふかく秘められている「願い」であり、
如何なる方向にむかってこの自己を捧げるべきか──
と思い悩んだあげくのはて、
ついに自己の献身の方向をつかんだ人の心的状態といってよい。
・・・
【 12月22日 】
「朝に道を聞かば夕に死すとも可なり」(論語)
生きた真理というものは、真に己が全生命を賭けるのでなければ、
根本的には把握できないという無限の厳しさの前に佇立する想いである。
・・・
【 12月23日 】
礼拝とは、
(一)首を垂れること
(二)瞑目すること
(三)両手の掌を胸の辺りで合わせる──という三要素。
最も簡易にして、かつ最も普遍的な宗教的行といってよいが、
いずれも人をして相対を超えしめる具体的な方策といってよい。
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【 12月24日 】
神はこの大宇宙をあらしめ、
かつそれを統一している無限絶大な力ともいえる。
同時にそれは他面、このわたくしという一人の愚かな人間をも見捨て給わず、
日夜その全存在を支えていて下さる絶大な「大生命」である。
・・・
【 12月25日 】
立腰と念仏の相即一体は宗教の極致。
即ち自他力の相即的一体境であって、
いずれか一方に固定化する立場もあるが、
両者の動的統一がのぞましい。
・・・
【 12月26日 】
「生」の刻々の瞬間から「死」の一瞬にいたるまで、
われらの心臓と呼吸は瞬時といえども留まらない。
これは「ありがたい」という程度のコトバで尽くせることではない。
「もったいない」と言っても「辱ない」といってもまだ足りない。
文字通り「不可称不可説」である。
・・・
【 12月27日 】
けふひと日 いのち生きける よろこびを 夜半にしおもふ 独り起きゐて
・・・
【 12月28日 】
私が何とか今日まで来れたのは、十五歳のとき伯父の影響で岡田式静坐法を知り、
自来八十二歳の現在まで一貫して腰骨を立てて来たことに拠るが、
しかし近ごろになって、それだけでは尚足りず、
やはり「丹田の常充実」こそ最重大なことに目覚めて、
今や懸命にこれと取り組んでいます。
(尚、丹田の充実には、最初に「十息静坐法」をした上で入るのが良いと思います。)
・・・
<参考:「十息静坐」>
ハイ腰骨を立てましょう
しばらく眼(まなこ)を閉じましょう。
肩やむねから力をぬいて
すこしアゴをひきましょう。
吐いては吸うて深呼吸
十ぺん十息かぞえましょう。
この要領でこの姿勢
こころ静かに念じましょう。
(Web:人生の深みを見つめてー森信三語録からー
http://h-kishi.sakura.ne.jp/kokoro-37.htm より)
・・・
【 12月29日 】
我われ一人びとりの生命は、
絶大なる宇宙生命の極微の一分身といってよい。
随って自己をかくあらしめる大宇宙意志によって課せられた
この地上的使命を果たすところに、
人生の真意義はあるというべきであろう。
・・・
【 12月30日 】
私の死後、この実践人の家を訪ねて、
「森とは一体どんな人間だったか」と尋ねる人があったら、
「西洋哲学を学んだがもうひとつピッタリせず、
ついに『全一学』に到達して初めて安定したが、
それ以外には唯石が好きだった」と仰しゃって下さい。
・・・
【 12月31日 】
念々死を覚悟してはじめて真の生となる。
自 銘 不尽
学者にあらず 宗教家にあらず
はたまた教育者にもあらず
ただ宿縁に導かれて
国民教育の友としてこの世の「生」を終えん
<感謝合掌 平成28年12月21日 頓首再拝>
Re: 『一日一語』(森 信三) - ijctgfzjt URL
2020/08/29 (Sat) 03:51:17
伝統板・第二
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